私は大学を卒業後に、調剤薬局で働き始めました。店長を経て、会社のNo.2のポジションで7-8店舗ほどの統括もさせていただきましたが、違和感や限界も感じるようになりました。その頃に私が思い描いた理想的な組織は、経営者と社員の距離が近く、スタッフ全員で連携して売上を作っていくような組織。業務範囲ももっと広げれば、大きな可能性があると感じました。それならば、理想的な組織を自分でつくってみようと思い、きぼう薬局を創業したのです。創業以来、何よりも大切なのは人という想いのもと、人と成長を大切にした組織づくりに注力し続けています。スタッフ間の交流や研修などの教育も盛んに行っています。

薬局経営が軌道に乗る中、2000年に介護保険制度が始まり、国が在宅医療に力を入れる方針を打ち出しました。通院できない方々には薬を届ける方針になったのですが、在宅訪問を行う薬局は、当時は1割にも満たない状態でした。しかし、私はそこに必要性や可能性を感じ、早くから熱心に取り組んだのです。私が在宅訪問に注力しようと思った理由は、患者さんにとって良いことであると同時に、薬剤師にとっても良い影響をもたらすと感じたからです。調剤薬局での外来対応は、薬を作って渡すだけです。一方で在宅や老人ホームへの訪問は、患者さんとダイレクトにつながって状態を看たりヒアリングし、薬学的知識を用いて健康を守るという、本来薬剤師が行いたかった仕事のはずです。医師や看護師、ヘルパーやケアマネージャーと連携して働きますし、患者さんにとって最適な薬を医師に提案できます。結果として薬剤師も成長し、意欲的な薬剤師の方々が集まるようにもなりました。そしてこの在宅訪問が、次の転機をもたらします。

薬のお届け先である介護業界に興味を持ち、自ら勉強もしていました。在宅訪問に力を入れて10年ほど経った頃に、介護施設も運営しようと決意して始めたのが、ライフガーデン熊取という老人ホームです。実際に運営を行うことで、介護現場の動きが手に取るように理解できるようになりました。結果として、「介護現場がわかる薬局」と認識されるようになり、お付き合いのあった介護施設にさまざまなサポートや付加価値を提供できるようになりましたし、介護施設からのご相談や問い合わせも増えました。在宅訪問を行いつつ、介護施設の運営も行う薬局は他にはほとんどないと思います。

薬局も介護施設も順調に増えて、現在薬局は8店舗、介護施設は17施設を運営しており、今後もどんどん増える予定です。薬局も介護施設も建物ありきの事業なので、建設が関わります。特に介護施設は自社物件で運営もしているので、入居者や職員にとってより良い建物を自社内で完結して作りたいと思うようになり、建設業も始めました。今では、土地さえあれば私たちで建物を建て、介護施設の運営も私たちで行い、薬局として薬の配達も行えます。建設業を自社で始めたことで、土地だけをお持ちの方々に介護施設の建設や運営、薬関係と丸ごと提案できるようになりました。結果として介護施設などからのコンサルティング依頼も増えており、20社ほど担当させてもらっています。「現在デイサービスと訪問介護を行っているが、新たに老人ホームの運営をしたいので相談にのってほしい」というお声であったり、「介護施設を運営していてサポートもできる薬局があるので一度会いませんか」とご紹介していただいたりしています。介護施設の運営サポートや薬関係をお願いしたいというケースが多いですね。

事業のつながりや人材を大切にして、今まで進んできました。今後は100億円という売上規模を目指しています。会社が大きくなれば、ステージも上がり、社員一人ひとりが見える景色も変わると思います。高齢化社会が進む日本で、介護×薬局×建設×コンサルティングという独特の事業分野をもつ当社の役割や果たせる責任は、ますます大きくなると思いますし、社会貢献にも力を入れていきたいと思っています。

当グループは、これからもまだまだ施設の数や社員数、売り上げが伸びると思います。そんな中、どうすれば会社が良くなるのか、どうすればスタッフが働きやすくなるのかと一緒に考えてもらえるような方と働きたい。我々も働きやすい職場環境づくりに力を入れていますが、社員の声を聞いてどんどん反映させて、もっともっとより良い職場にしたいと思っています。薬剤師の方々にとっては在宅訪問があるので、とてもやりがいがあるとも思いますし、介護施設で働く人にとっても教育が充実しているので、どんどんスキルアップして責任あるポジションにステップアップしてもらえます。建設も老人ホームの建設戸数をもっと増やしていこうと挑戦中です。求職者はもちろん、薬局や介護の業界に興味のある方がいたら、気軽にお問い合わせいただければと思います。出会いやご縁を大切にして、どんどん新しいことにもチャレンジしたいと思っています。